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検証状況

公開 Web 版 ISODISTORT の出力との比較と、Web から独立した数学的検査を用いて検証しています。 本書の数値は 2026 年 8 月 20 日時点のスナップショットです。 各 Web branch について main へ land 済みの local runtime が生成した最新の Validation 出力を参照しています。

判定

検証単位は、1つの入力構造と1つの order-parameter direction(OPD)の組です。

  • Strict pass: OPD の表示 setting、子構造、mode の種類・本数・原子対応・正規化係数・vector が、順序まで含め Web 出力と完全に一致します。
  • Physical pass: 表示上の mode 順序、符号、同じ mode 空間内の基底選択、等価な crystallographic setting などに違いがあっても、子構造と張られる物理的 mode 空間が等価であり、基底の取り方など、純粋な規約差のみを含むものです。Strict pass はすべて Physical pass に含まれます。
  • Physical fail: OPD が存在しない、子構造が物理的に異なる、必要な mode が欠ける、または mode vector が同じ物理空間を張らない、本家とは物理的に異なる場合です。本家・ローカル共に数学違反がなく、非自明な物理同値を判定しきれていない潜在的な candidate Physical Pass も保守的に fail として扱います。

有効母集団の定義

各出力に二つの必要条件検査を行います。

  • Mode basis: 表示された完全なmode basisの有理数上の線形独立性
  • Group invariance: verifierが保持するsettingにおける、表示mode fieldの報告部分群作用に対する不変性

Validation母集団は、WebとLocalがともに計算済みで、Web出力がいずれの検査でもrefutedされなかったbranchで構成します。

再現性

公開checkoutのBranches/には、各branchのcanonical input、選択OPD、比較結果、数学検査statusを収録します。 独立したVerification/には、private monorepo Validation運用と同じparser、数学検査、Strict/Physical comparator、result projectionを収録します。 第三者はbranchを選び、APOSTRUCTを実行し、同じ入力を公開ISODISTORT Webへ自分で投入することで、privateなsweep/store schemaに依存せず両出力を検査できます。

二つの検証母集団

MP pool: 広域ストレス母集団

Materials Project 由来の構造を基礎に、固定・parametric K、multi-K、一般 OPD を広く含む母集団です。

構造 pool の選定

CIF pool は Materials Project から作成しました。 同じ空間群で、占有される Wyckoff site の multiplicity・letter の組が同じ構造は同じ topology とみなし、(space group, occupied Wyckoff pattern) ごとに1件だけを取得。 元素の置換だけが異なる構造や、同じ Wyckoff pattern の自由座標だけが異なる構造は、この段階では重複として除きました。 この方法で得た pool は 19,086 CIF です。 以下の Web 母集団で実際に使われたのは、現時点で2,557 CIF です。

入力のサンプリング

現在の母集団は、1回の単純 random sampling ではなく、複数の再現可能な campaign の和集合です。 各 campaign は seed、filter、目標件数、生成された順序付き input ID を保存しています。

  1. CIF を空間群、結晶系、centering、site数、atom数などでfilterします。
  2. campaign に応じて、空間群・結晶系・centering の bucket を先に一様選択し、その中の CIF を一様選択します。比較用に、bucketを使わず全候補から選ぶ campaign も含みます。
  3. strain と、各元素の displacive/magnetic 有効・無効を選びます。random指定時は各元素を独立に選びますが、ordinary-only、magnetic-only、mixed などを固定した層も含みます。
  4. K slot数を1から4の範囲で選び、fixed/parametric の個数と配置を選びます。初期母集団で薄かったmulti-parametric、parametric の位置違い、多次元parametric K、multi-Kは後続campaignで明示的に補いました。
  5. 各slotについて、その空間群、選択元素のWyckoff rows、mode kindに対してSource上有効なK/IRだけを列挙し、その候補から選びます。
  6. parametric Kの値はSource domain内かつ分母6以下の既約有理数を列挙し、canonical値を重複除去した集合から選びます。
  7. WebでOPD一覧を取得した後、campaignが明示した1-based ordinalを収集します。1 inputから複数OPDを収集した場合は、それぞれを別branchとして数えます。

下記のpass率は、randomサンプリングを中心に、不足している難しい形状を意図的に厚くした層別ストレス試験の達成率です。

結果

項目 件数
有効Validation母集団 3,040
Strict pass 1,897
Physical pass 3034
Physical fail 6
  • Physical pass: 3,034 / 3,040 = 99.80%
  • Strict pass: 1,897 / 3,040 = 62.40%

K-signature 別

F は固定 K、P は parametric K を表します。 すべての列で、上で定義したValidation母集団を使います。

K Validation母集団 Physical pass Strict pass
F 788 788 (100.00%) 678 (86.04%)
FF 297 297 (100.00%) 217 (73.06%)
FFF 189 189 (100.00%) 121 (64.02%)
FFFF 202 202 (100.00%) 138 (68.32%)
P 687 686 (99.85%) 439 (63.90%)
PP 20 18 (90.00%) 1 (5.00%)
FP 126 126 (100.00%) 62 (49.21%)
FFP 453 452 (99.78%) 154 (34.00%)
FFFP 246 246 (100.00%) 81 (32.93%)
FPP 31 29 (93.55%) 6 (19.35%)
FFPP 1 1 (100.00%) 0 (0.00%)

MAGNDATA: practical 母集団

MAGNDATA に収録された実在磁気構造を基にした母集団です。 実用的な入力に対する信頼性を見ることを目的とします。

構造と入力の選定

MAGNDATAのmcifをLocalへ直接入力するのではなく、同じparent構造の通常CIFをMaterials Project、次いでCrystallography Open Database(COD)から取得しました。

親CIFの対応は、MAGNDATAのparent SGを必須とし、次のような一意性が確認できた場合だけを採用しました。 曖昧な候補から任意の1件を選んではいません。

  • MAGNDATA/mcifの化学式と、元素順を無視して一致する候補が1件だけ: MP 495件
  • MAGNDATA top pageの化学式と一意に一致: MP 153件
  • 記録されたICSD IDにより一意に対応: MP 344件
  • 化学式、DOI、citation、元素集合をparent SGと組み合わせて一意に対応: COD 59件

以上で 1,051件のparent CIFを対応できました。

入力生成では、mcifから推測ではなく直接読める情報だけを使います。

  • primary IRをSourceの一意なIR labelへ対応させ、IRに属するKをslotへ入れる
  • child magnetic space groupはmcif記載のBNS番号をそのまま使う
  • ある元素のsiteが1つでも磁気momentを持てば、その元素全体をmagnetic onにする
  • primary IRにordinary成分があれば全元素をdisplacive onにし、strainはoffにする

primary IRやBNSの欠落、Source labelの非一意性、または同一のinput・OPDとしてWebへ投入できない不正なmcif記録を除き、最終的なValidation母集団は927件です。 内訳は、zero-K 458、nonzero Type I/III 28、nonzero Type IV 412、two-K 19、three-or-more-K 10 です。

項目 件数
母集団 / 入力 / CIF 927 / 927 / 927
Validation 済み・Judged 927
Strict pass 882
Physical pass 927
Physical fail 0
  • Physical pass: 927 / 927 = 100.00%
  • Strict pass: 882 / 927 = 95.15%

K-signature 別

K 母数 Physical pass Strict pass
F 798 798 (100.00%) 760 (95.24%)
FF 84 84 (100.00%) 81 (96.43%)
P 40 40 (100.00%) 36 (90.00%)
PP 3 3 (100.00%) 3 (100.00%)
FP 1 1 (100.00%) 1 (100.00%)
FPP 1 1 (100.00%) 1 (100.00%)

検証限界

successful Web branch 4,141件のうち、現行数学検査で173件がrefuted、1件がindeterminateです。 この174件はすべて有効母集団から除外します。 このうち172件にはlanded Local比較があります。 対応するLocal出力は、130件が両検査をsatisfied、38件がbasis satisfied・group invariance refuted、3件がその逆、1件がbasis satisfied・invariance indeterminateです。 これらは診断には有用ですが、除外されたWeb出力との一致はcorrectness evidenceには数えません。

計算性能

有効Validation母集団のうち、WebとLocalの両方にwall_sが記録されているbranchを性能母集団とします。 Web時間は、successful OPD一覧requestと、選択branchのComplete Mode Details requestの和です。 Local時間はローカルのmode-details計算本体を測ります。 実行環境が異なるため、以下は速度の直接比較ではなく参考値です。

性能母集団 Local中央値 Web中央値 Local p95 Web p95
2,075 / 3,967 0.68 s 8.25 s 41.64 s 32.29 s
          0.1                 1                  10                100 s
Local        |----[=======│=============]-------------------|
        p5=0.14  Q1=0.28  median=0.68  Q3=3.78  p95=41.64
Web                                          |│=]---------|
        p5=7.31  Q1=7.48  median=8.25  Q3=10.52  p95=32.29

K-signature別性能

K 性能母集団 Local中央値 Web中央値 Local p95 Web p95
F 951 0.29 s 7.48 s 1.00 s 7.94 s
FF 164 0.45 s 8.81 s 2.51 s 10.68 s
FFF 53 1.29 s 9.24 s 15.33 s 37.38 s
FFFF 47 1.76 s 9.30 s 11.24 s 20.05 s
P 234 2.01 s 8.48 s 53.66 s 30.86 s
PP 21 12.17 s 13.47 s 88.07 s 37.34 s
FP 127 3.77 s 10.58 s 77.02 s 41.10 s
FFP 239 5.84 s 11.84 s 61.47 s 53.99 s
FFFP 208 10.09 s 14.24 s 84.17 s 62.02 s
FPP 30 10.55 s 13.83 s 78.43 s 53.72 s
FFPP 1 79.90 s 66.64 s 79.90 s 66.64 s

parametric Kとmulti-Kを含むstress caseには、Local に明確な long tail が残っています。